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2015.11.27

日本一社員が幸せな会社未来工業創業者山田昭男氏の名言

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社員を幸福にすること、徹底した差別化を図ること、この2つの取り組みにより高い業績をあげてきた会社がある。未来工業である。

長引く不況に多くの会社が苦労する中、独特の経営スタイルで未来工業創業者の山田昭男氏は、会社を引っ張ってきた。

未来工業には、他社からみるとヘンな「きまり」がたくさん存在するが、それらの「きまり」が会社の好業績を支えてきた現実がある。

山田昭男氏の発言を紹介しながら、未来工業の強みを探っていく。

1. 定年前こそ人はよく働くんだよ
2. 残業したい?だったらもう一人雇いなさいよ
3. なにせ報連相禁止だからね
4. 正社員でない人間が技術を覚えようとするか
5. 人間をコスト扱いするな
6. 成果主義を採用するつもりはない
7. 泥棒に入られたらいけないという法律はない
8. 自分にできることから真似してみる
9. まとめ

1. 定年前こそ人はよく働くんだよ

未来工業の定年は70歳である。このような会社はほとんどないだろう。
しかも65歳で年収が700万円である。60歳で再雇用し年齢とともに給料を引き下げる会社が多い中で、未来工業はこの年収を定年まで維持するそうである。

その背景には、定年前こそ人はよく働くという考えがある。年齢とともに確かに体力は衰えていくかもしれない。しかし、むしろ自分の仕事を集大成するために、また、自分の仕事を後輩に引き継ぐために人は定年に近づくほど頑張るものである。

そのような人間の心理をよく理解した言葉である。

その上、給料は高止まりするわけだから、一層社員のやる気も湧いてくる。

「60歳からは給料据え置き。下げないよ。定年前こそ、人はよく働くんだよ」
山田昭男著「日本一社員がしあわせな会社のヘンな”きまり”」(ぱる出版)より

2. 残業したい?だったらもう一人雇いなさいよ

未来工業では残業は禁止だそうである。さらにそれだけではない。日本一就業時間は短い。休日は年間140日で年末年始は20連休である。

仕事をして睡眠をとったら、一日に自由にできる時間はそれほどない。そのような貴重な時間を残業に費やしたら、人はただ働いて食べて寝るだけの存在になってしまう。
生きて幸せになるためには、自由な時間を楽しむことも必要である。

一方で、会社にとっては残業代は割高である。割増賃金を払わなければならないからである。
残業をするのであれば、新人をもう一人雇って就業時間内で業務をしてもらう場合とコスト的にはそれほど変わらない。

勿論、人を一人雇えば、給料以外にも社会保険や諸々の諸経費が会社の負担になる。しかし、新人がコストを上回るアイデアや仕事をするかもしれない。

だから、トータルでみたら残業よりは人を増やした方が良いという判断である。

サービス残業は論外であるが、就業時間内の業務を限りなく効率化させ残業しない仕組みをつくり、社員にはゆとりある時間を提供すれば、更なら業務アイデアが湧いてきて好循環が生まれるのだろう。

「残業したい?だったらもう一人雇いなさいよ」
山田昭男著「日本一社員がしあわせな会社のヘンな”きまり”」(ぱる出版)より

3. なにせ報連相禁止だからね

未来工業では、報告、連絡、相談は禁止である。
情報は最低限のものだけ共有できていれば、あとは自分の判断で行動すればよい。なぜなら、その仕事について一番よくわかっており、適切な判断を下せるのは、実際に担当している本人だからである。

仕事のことをよくわかっていない上司に相談して、上司を説得するようなことにエネルギーを使うのは、ただただ不毛である。

それに、自分で考え自分で判断して仕事を進められるということは、社員のモチベーションにもなる。

このような考えから、報連相が禁止されている。

「俺の知らない間に、営業所ができてんだよ。なにせ報連相禁止だからね」
山田昭男著「日本一社員がしあわせな会社のヘンな”きまり”」(ぱる出版)より

4. 正社員でない人間が技術を覚えようとするか

仕事で一人前になるにはどうしても時間がかかる。
だが、明日仕事を失うかもしれないという状況では、決して真剣に仕事を覚えようとするはずがない。覚えてもすぐに使う必要がなくなるからだ。

だから、未来工業では全員が正社員である。
勿論、入社してすぐには使いものにはならない。一人前になるまでには相当な時間が必要になるが、正社員として能力を磨けばこの先ずっと雇用されることになり、そのためには社員も仕事を頑張るということである。

「正社員でない人間が、まじめに技術を覚えようとするだろうか」
山田昭男著「日本一社員がしあわせな会社のヘンな”きまり”」(ぱる出版)より

5. 人間をコスト扱いするな

派遣やバイトを雇うことで人件費が半分になると考える経営者がいるが、未来工業では、人間をコスト扱いすることに反対している。

同じ仕事をしたとしても、派遣やバイトの給料が正社員の半分であれば、正社員と同じだけのパフォーマンスを発揮するはずがない。むしろ、正社員の半分の成果もないはずである。
その方が、よっぽど勿体ないことである。

社員のモチベーションを上げるにはどうしたらよいかを常に考えている山田昭男氏の想いがよく伝わってくる。

「人間をコスト扱いするな」
山田昭男著「日本一社員がしあわせな会社のヘンな”きまり”」(ぱる出版)より

6. 成果主義を採用するつもりはない

未来工業では、仕事を頑張っても頑張らくても給料は同じである。
ただし、頑張らなければ会社の利益が減り、社員全員の給料が減ることになる。一方で頑張れば会社の利益が増え、社員全員の給料が増える。
このような考え方を社内に浸透させている。

未来工業では成果主義は採用されていない。給料は年齢とキャリアによって決定される。その背景には、人間が人間を評価する以上、そこには必ず感情が入り込み、公正な評価は絶対にできないからだという考え方がある。

確かに、感情を全て排除して人が人を評価することなどできない。また、仕事の中にも感情が含まれており、感情そのものを仕事から排除することも難しい。


「人間が人間を評価する限り”成果主義”を採用するつもりはない」
山田昭男著「日本一社員がしあわせな会社のヘンな”きまり”」(ぱる出版)より

7. 泥棒に入られたらいけないという法律はない

未来工業ではセコムを採用していない。
正門に守衛も置いていない。
門には鍵もかけていないそうだ。理由はもったいないからである。

泥棒に入られては困る、その対策をしなければならないという固定観念があるが、結局はコストの問題である。セコムを採用する経費と泥棒に入られる被害額とではどちらが大きいかということである。

泥棒による被害は金銭的な物的被害だけでなく、個人情報の流失など損害賠償請求を受けることに繋がることもある。技術自体が盗まれることもあるだろう。

だから一概に未来工業を真似するのはどうかとも思うが、ただ、固定観念に捉われない発想はとても大切である。

「泥棒に入ったらいけない法律はあるが入られたらいけないという法律はない」
山田昭男著「日本一社員がしあわせな会社のヘンな”きまり”」(ぱる出版)より

8. 自分にできることから真似してみる

いろいろと頭で考えてばかりいてなかなか実行しない人がいる。だが、実際に行動してみないとわからないこともたくさんある。

だから、未来工業では、成功していること、上手くいっていることで自分にできることは、すぐに真似をしてみる。
ただし、上手くいかなかったら、すぐに止めなければならない。
撤退の判断が遅れることによって、大きな損害を負うことはしばしば発生するからだ。

一方で、すぐに止めると思えば、逆に始めることも簡単になる。

それに失敗を繰り返すことが、成功に近づく方法でもある。同じ失敗をしてはいけないが、失敗はある意味成功するためのデータを集めているともいえる。
良い失敗をたくさんするために、まずは真似してすぐにやってみる、ダメならすぐに止める。

そういうことである。

「自分にできることから真似してみる。ダメならパッと止める」
山田昭男著「日本一社員がしあわせな会社のヘンな”きまり”」(ぱる出版)より

9. まとめ

未来工業の山田昭男氏の経営スタイルに驚く人も多いことだろう。
だが、これまで成果を上げ続けてきたことも現実である。

未来工業には、他の会社とは違った。ちょっとヘンな決まりがたくさんある。
それらは、社員が幸せになること、差別化をすることという2つの考えを軸にしてつくられたものである。

山田昭男氏の経営スタイルを真似することは必ずしも容易ではないが、また、真似したとしても上手くいくとは限らないが、それでも彼の経営哲学からは多くのことを学ぶことができることだろう。


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