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2015.11.28

顧客をリピーターにするプロフェッショナルの7つの流儀

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プロフェッショナルには強いこだわりがある。
良くも悪くも自分の世界観を持っている。

それ故、時には誤解を招くこともあるが、いつの間にか顧客は、プロフェッショナルの流儀に親近感と信頼感を寄せている。

顧客に尊敬され、また仕事を頼みたいと思われるプロフェッショナルの行動や考え方について紹介する。

是非、多くの方に、ここから何らかのヒントを見つけてもらいたい。

1. 本物と偽物の違い
2. プロフェッショナルにフリーライダーはいない
3. 人を育ててこそのプロフェッショナルである
4. 基礎トレーニングを大事にする
5. 御用聞きになってはいけない
6. プロフェッショナルは顧客を選ばない
7. ウラをとる
8. まとめ

1. 本物と偽物の違い

プロフェッショナルにも本物と偽物がある。偽物と言ったが怒られそうなので、二流と言っておく。では、一流と二流の違いはいったい何か? 違いはいろいろとある。 二流本人にはわからないかもしれないが、傍から見るとその差は歴然としている。

もし、一言で表すとすれば、二流にはあと一歩が足りないということだ。一手間が不足している。一工夫が足りない。あとちょっとの気遣いが伝わってこない。そういった違いが、積もり積もってとても大きな差となって現れる。

何かを成すことはとても大変なことである。一流のプロフェッショナルは、その辺のことをよくわかっている。だから、常に全力を尽くし、一つ一つのことに拘り、納得のいくまで突き詰めていく。
しかし、そのような状況の中で、 「自分はもう限界かな?」 「ここまでやれれば、もう十分だろう!」 と思うことも多々あるが、一流のプロフェッショナルは、そこから、更に一歩を踏み出していく。
「もう、いいよ!」 と言われても、まだ止めない。 もう一手間をかける。あと一工夫する。そしてもう一度周りを見渡す。

一流と二流の間には、一つ一つを見れば、それほど大きな違いはないが、その一つ一つの違いの積み重ねこそが歴然たる違いを創り出すのである。 残念だが、その違いを取り返すことは至難の業だ。一度付けられた差をリカバリーすることは並大抵のことではない。

しかし、一流のプロフェッショナルになるためには、越えなければならないことである。 「もう、これ以上やったら死ぬ!」 そう思ってからもうひと踏ん張りしなければならない。

限界を超越して初めてプロフェッショナルの領域に足を踏み入れることが許されるのだ。

2. プロフェッショナルにフリーライダーはいない

どんな組織にも必ずと言っていいほどフリーライダーが存在する。
会社であれば、一丁上がりのダメ上司がその典型だ。自分はたいした仕事もせず、ただただ、部下のことばかり気にしている。だからといって適切なアドバイスができるわけでもない。上司らしい指導力を発揮するわけでもない。
それでも自分は、管理職としての仕事を全うしていると本気で信じている。部下からみれば、それこそ給料泥棒にしか見えない。

「フリーライダー」とは、もともと経済学の用語で、「ただ乗り」を意味する。コストを負担せずに便益を受ける人のことを言う。だから、会社の中で、ちゃんと働かずに(コストを負担せずに)、給料をもらう(便益を受ける)人のことを、そう呼ぶようになった。

しかし、会社の中には、そんなダメ上司以外にもまだまだフリーライダーは存在する。あなたの身近にもいるはずだ。 他人の成果を自分のものにしてしまう人がいないだろうか?
中にはあからさまに行う者もいるが、多くの場合、事は巧妙に運ばれる。気が付くと、なぜかあなたではなく、他人が脚光を浴びている。
それは、別に大きな成果に限らない。ちょっとしたことかもしれない。あなたが、何気なく気付いたことを、さも自分が指摘したかのように振る舞う人なのかもしれない。

しかし、その人も、間違えなくフリーライダーである。あなたの成果をただで(コストを負担せずに)手に入れて、脚光を浴びている(便益を受けている)からだ。

前置きが長くなったが、プロフェッショナルの中にフリーライダーは存在しない。なぜなら、プロフェッショナルは、他人の成果に満足できないからだ。他人の成果は所詮他人の世界の中で構築されたものにすぎない。プロフェッショナルのあなたのワールドの中には相容れないことである。

むしろ、プロフェッショナルは、自分の仕事への正当な評価を大切にする。自分の仕事に自信があるからこそ、その報酬には拘りを見せる。100%の仕事をやっているからこそ、たいしたことのない他人の仕事をリスペクトすることもない。したがって、自分の仕事に見合わない報酬を受け取ること自体が、絶対にはあり得ないことなのだ。

どうして、フリーライダーは、そんな簡単なこともわからないのだろうか!
いや、わかっていてもできないだけである。
なぜなら、プロフェッショナルの生き方はとても辛いからだ……。

3. 人を育ててこそのプロフェッショナルである

質問されたことに的確に回答することは、プロフェッショナルにとってとても大切なことである。勿論、聞かれてもいないことを延々と回答するような人は論外だ。

質問の内容が客観的な事実に関することであれば、知っているか知らないかだけの話である。知らなければすぐに調べて回答すれば済むことだ。

判断を伴うことであれば、いろいろな検討が必要になるので、少し時間をもらって思案することも許されるだろう。

優秀なプロフェッショナルは、質問に回答するだけでなく、更に一歩踏み込んでいく。
質問者が今後遭遇する可能性のある問題を想定し、それを見越したアドバイスを行う。
質問者に何かトラブルが生じることが予想されれば、それを未然に防ぐような助言をする。

あるいは、質問者が、本当に知りたいことを理解できているのかどうか思いを巡らせる。
質問者によっては、自分自身一体何がわかっていないのか、それすらわからないことが度々あるからだ。だから、質問者の意図を汲み取り、質問者が本当に知りたいことが質問できるように誘導していく。

しかし、それだけでは、まだまだ一流にはなれない。 本当に一流のプロフェッショナルは、自分に関わった人を成長させることもできるのだ。ただ、自分の知識や知恵を伝えるだけではない。何か付加価値のあるアドバイスをつけ加えるだけでもない。
知らず知らずのうちに、大きくはないかもしれないが、以前から一皮むけたような、成長した質問者を生み出すのである。

それは単に質問者の知識や知恵が増えたということではない。なかなか表現が難しいが、あえて言えば、それはプロフェッショナルの遺伝子を芽生えさせるようなものである。  

それこそ、質問者自身が、本当に求めていることだろう。
場合によっては、本物のプロフェッショナルに接したとしても、そのような成長した自分に気付かない人もいるかもしれない。しかし、本物のプロフェッショナルは、あなたの成長に必ず貢献しているはずだ。

人の一生はとても短い。一人の人生だけで世の中に大きな変化を起こすには限界がある。しかし、成長のDNAが脈々と受け継がれることで人類は大きな進歩を遂げてきた。 本物のプロフェッショナルは、そのことを本能的に理解しているのである。

4. 基礎トレーニングを大事にする

プロフェッショナルの仕事は、一見華やかだ。大勢の観客を前にプレーするプロ野球選手やプロサッカー選手は、大歓声に包まれながら人々を魅了する。しかし、その裏には必ず、並々ならない努力がある。

どんなプロフェッショナルでも、一人でランニングをしたり、素振りをしたり、あるいは黙々とリフティングをしたり、そういった基礎訓練を繰り返す。
球場でのプレーは、いわば本番だ。その本番に向かってひたすら腕を磨く。

すなわち、仕事には十分なトレーニングと準備が不可欠だということだ。プロフェッショナルの仕事であれば尚更である。

ところが、ランニングや素振りは大切だと言っている人であっても、いざ自分が単純な仕事をすることになると、途端に不満顔になる。この程度の仕事をするためのプロフェッショナルではないといった素振りまで見せる。

しかし、仕事は、いつも、いつも球場でプレーするようなことばかりではない。むしろ、地味なことの方がよっぽどたくさんある。

プロフェッショナルは、お客様の前で100%のパフォーマンスを発揮するために、用意周到な準備をしておかなければならない。その基礎トレーニングの積み重ねがあってこそ、本番で最高の結果を生むことができるのである。

「天才は1%のひらめきと99%の努力」という名言がある。これは、かの有名な発明王エジソンの言葉だ。天才も努力があってこそだと理解されているが、実は、99%の努力も1%のひらめきがなければ無駄になるとか、1%のひらめきがあれば99%の努力も苦ではないという意味だとも言われている。

これを、プロフェッショナルに当てはめれば、99%の努力があってこそ、1%の最高のひらめきを発揮できるということになる。

僅差の勝負をするプロフェッショナルにとって、勝敗を分けるのは、日々の積み重ね以外にはない。それを運だという人もいる。しかし、素人には僅差に見えるが、その差を埋めるには膨大な努力が必要になる。

そして、その努力をした者こそ、本当のプロフェッショナルといえる。

あなたも、早速、素振りを始めよう!

5. 御用聞きになってはいけない

あなたはクライアントから、プロフェッショナルとしての依頼を受けた。
依頼を遂行するには、いろいろな関係者と調整をつけなければならない。関係者が多ければそれだけ依頼の遂行は困難になる。 しかし、難しいからこそ、クライアントはプロフェッショナルに依頼をするわけだ。

プロフェッショナルは、何とかまとめるために奮闘する。ところが、次第に風向きがおかしくなる。 クライアントに対して、Aさんはこう言っている、Bさんはああ言っているといった具合に、突き詰めれば事実だけを報告するようになっていた。

AさんやBさんにも、クライアントの言うことをそのまま伝えていた。

これでは、ただのメッセンジャーにすぎない。正に御用聞きである。別にプロフェッショナルでなくてもできる仕事だ。

クライアントは、高いフィーを払ってこの程度のことしかできていないことを知ったら呆れてしまうことだろう。

本当のプロフェッショナルは、ミッションをクリアーするために何をしなければならないか、ゴールまでの道筋をブレイクダウンしていく。そして、その道筋から逸れそうになればすぐさま軌道修正する。
クライアントの要望がおかしければ、それを解決する。逆に要望はされていなくても、クライアントの真の望みを見極める。

また、関係者の主張についても、クライアントの要望と折り合いをつけるためにあらゆる可能性を検討して提案し、妥協点を模索する。

メッセンジャーでは、プロフェッショナルとしての仕事を遂行したとは言えないと分かっていても、メッセンジャーをしているうちにそれが仕事になってしまうことがある。

クライアントが求めていることは、プロフェッショナルとしてのアイディアであったり、問題解決能力であったり、いろいろだが、プロフェッショナルでなければできない仕事ぶりを期待しているのは間違えない。

他の誰にもできない仕事ぶりをクライアントに届けているかどうかである。

6. プロフェッショナルは顧客を選ばない

「繁盛店の頑固親父!」 こんなフレーズで、テレビ番組に紹介される飲食店の店主がいる。
気に入らない客を追い返す、そんな横柄な態度が受けて人気店になった。味は勿論抜群だ。

しかし、客は長い行列を作って順番を待ち、その挙句に店主に気を使いながら食べている。それではせっかくの料理も100%味わえない。

店主には、店主なりの誇りがある。自分の仕事に対する絶対の自信もある。だから客を選ぶ。その店主のポリシーなので、それはそれとして尊重する。

しかし、本当のプロフェッショナルは顧客を選ばない。プロフェッショナルにとって顧客の態度も、素性もまったく関係ない。自分の仕事を必要としている人がいれば、分け隔てなくサービスを提供する。

犯罪者であろうとも、親の仇であろうとも、プロフェッショナルの仕事を望むのであれば、その人は顧客だ。プロフェッショナルとして、最高の仕事をする。

一方で、プロフェッショナルは、決して顧客に媚びる訳でもない。顧客との間に主従の関係は存在しない。常に顧客とプロフェッショナルは対等である。
だからこそ、プロフェッショナルは顧客を選ぶことがない。顧客が威張ったり、店主が横柄だったり、そのような歪な繋がりとは違う。

人間は、上下関係を作りがちだ。 福沢諭吉の有名な言葉はあるが、どうしても序列をはっきりさせたがる。そのような根性が芽生えるから、ややこしくなるのだ。

別に、そんな固いことを言う必要はないと感じる人もたくさんいると思うが、プロフェッショナルは、あるべき姿を大切にする。ルールを守る。そういう意味では、頑固親父以外の何者でもない。

「頑固親父だが、仕事を選ばない」、それがプロフェッショナルだ。

7. ウラをとる

プロジェクトを成功させるためには、適切な計画の策定が欠かせない。そして、計画には事実に基づいたバックグラウンドが必要だ。だから、計画の前提となる事実が間違っていれば、当然、計画も不適切なものになってしまう。

ところが、事実の把握は、思った以上に難しいことである。事実にもいろいろな種類があるからだ。

例えば、「A社の会計処理が誤っている」という事象がある。
しかし、過去の会計基準に照らせば誤っているが、現在の会計基準に照らせが適切な会計処理である。したがって、これは「過去の事実」にすぎない。

また、国際会計基準に照らせば誤っているが、日本の会計基準に照らせば適切な会計処理である。したがって、これは「国際会計基準上の事実」ということになる。

もう一つ例をあげる。
A社の社内の管理会計上は誤っているが、公表用の会計処理は適切である。これは「管理会計上の事実」ということになる。

まだまだいろいろな事実があるが、このくらいにしておく。

もうお分かりだと思うが、「A社の会計処理が誤っている」という単純な事象であっても、事実を見誤る可能性は随分とあるわけだ。
だから、プロフェッショナルは、この事実の見極めに拘りを見せる。あらゆる角度から検討する。そう! 事実のウラをしっかり取るわけだ。

事実が明らかになると、今度はあるべき姿を明確にする。
これが計画の策定に繋がっていくことになる。

8. まとめ

プロフェッショナルの7つの流儀をエピソードを交えて紹介した。

■本物と偽物の違い
■プロフェッショナルにフリーライダーはいない
■人を育ててこそのプロフェッショナルである
■基礎トレーニングを大事にする
■御用聞きになってはいけない
■プロフェッショナルは顧客を選ばない
■ウラをとる

是非、参考にしてもらいたい。

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