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2015.11.05

実績を上げるプロフェッショナルが実践する
成功への6つの習慣 

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頑張ってはいるものの、仕事を評価されず悩んでいる者は少なくない。

一方で、高い評価を受けて活躍する者も多い。
長年に渡って実績を上げているプロフェッショナルには共通して実践していることがある。そこには、クライアントから信頼を得て、高い評価を受ける秘密が隠されている。

これらプロフェッショナルが実践する習慣を、エピソードを交えて紹介する。
是非、参考にしてもらいたい。

Contents
1. 最後の最後を大切にする
2. いつも周りに神経を巡らせる
3. 聞かれたことに応える
4. クライアントの本当の要求を満たす
5. リスクアプローチの実践
6. クライアントファースト
7. まとめ

1. 最後の最後を大切にする

打ち合わせも無事に終わった。お客様が帰る。会議の内容が予想以上に好感触だったこともあり、あなたの気持ちは少し緩みかけている。こんな時こそ要注意である。

お客様は、あなたが思っている以上にあなたのことを見ている。あなたは、談笑しながらお客様を玄関まで見送る。いい雰囲気だ。

「それでは、こちらで結構です。本日はありがとうございました」
お客様が言った。

あなたも応える。
「こちらこそどうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします」

お客様は軽く会釈をすると、くるりと向きを変えて歩き始めた。あなたも頭を下げる。

実はここからが問題である。 玄関からは、20メートルほど直線が続いている。お客様はその道を歩いて帰っていく。お客様はまっすぐ前を向いて歩き、振り返る素振りすらない。 あなたは、オフィスに戻ろうとする。

しかし、ちょっと待って欲しい。 これはプロフェッショナルのマナーではない。プロフェショナルは、お客様を最後まで見届けるところまでが仕事だと考える。それはお客様が振り返ろうが振り返らなかろうが関係ないことだ。
あなたのプロフェッショナルとして意識の問題である。

それに、 お客様の方は、むしろ振り返りたい気持ちでいっぱいだ。

―まだ、玄関前で見送っているのかな? いや、そんなはずはない―

このような葛藤をしていることだろう。 そして、とうとう耐え切れなくなって、後ろを振り向く。 その時のお客様の気持ちを、是非、想像してみて欲しい。

もし、あなたが、まだ玄関先でお客様を見送っていたとしよう。きっとお客様は、申し訳なさそうに、遠くから深々と頭を下げ、もうオフィスに戻ってくださいとジェスチャーをするはずだ。そして、なんとなく嬉しそうな笑顔を浮かべて再び歩を進める。

一方、もし、あなたが、最後まで見送りをせずに早々とオフィスに戻ったらどうだろう?
お客様が、振り返る。

―やっぱりいないか。まあ、そうだよな―
お客様は、内心わかってはいても、それでもがっかりすることになる。ましてや、あなたが同僚と笑いながら話をしている姿を見られでもしたら最悪だ。

お客様は、会議の内容を思い出して、ちょっと待てよと冷静に考え直すかもしれない。
つまり、あなたが、玄関でお客様に頭を下げた段階では、今日の打ち合わせは終わっていということだ。

本当は、お客様が20メートルの直線を歩いて右に曲がり、お客様の姿が見えなくなった時はじめて仕事が完了したのである。 それこそが、プロフェッショナルの仕事といえる。

お客様は最後の最後、右折する瞬間に必ず後ろを確かめる。実は、あなた自身も同じことをやっているはずだ。

2. いつも周りに神経を巡らせる

まずは、仕事に集中することは大切である。一心不乱に取り組む姿勢は人の感動を呼ぶ。

しかし、
「○○さんはどう思う?」
「えっ! 何が?」
こんなあなたでは、それこそ失格だ。

会話をしている周りの人が急にあなたに話を振ることがある。周りの人は、当然あなたも話に加わっていると思っている。

そこであなたが、
「仕事に集中していたから聞いていなかった」
と言っても話にならない。

それが、例え仕事に無関係なくだらない会話であったとしても同じことである。 プロフェッショナルは、常にアンテナを張り巡らせている。それは、単に、情報を収集するためだけではない。常に、何かあればすぐに行動しようと身構えているからだ。

あなたは、何かわからないことがあって困っているとする。同僚と頭を抱えている。それを耳にしたプロフェッショナルは、すぐさま自分の見解を示してくれることだろう。
あなたが何か情報を探しているとしよう。プロフェッショナルはすぐに参考となる情報を教えてくれることだろう。

プロフェッショナルは、とにかく周りの状況をよく見ていて素早く反応する。

一つの例をあげる。
5,6人で話をしているグループがある。何やら立ち話をしている。ある人が熱心に自説を展開する。あなたはその人の話を聞いている。ところが、あなたは、少し、違和感を覚える。なぜなら、その人はあなたの前に立って他のメンバーに向かって訴えているからだ。

周りからは、あなた一人が、なぜか蚊帳の外にいるように見える。 別に彼はあなたのことが嫌いな訳ではない。あなたのことを意図的に無視した訳でもない。ただ、彼には周りが見えていなかっただけだ。
あなたのことが見えていなかった。当然、彼は自分が話しかけている人たちの状況もよくわかっていない。

残念ながら、このようなシチュエーションはとてもよくあることだ。そして、日頃仕事を頑張っているように見える人にも見受けられる。

重要なことですから強調しておく。

周りにはこれでもかというくらい目を配ろう。

周りからは、逆にあなたのことがよく見えているはずだ。

3. 聞かれたことに応える

あなたは会計にあまり明るくない。お客様と話をしている際に「発生主義」という言葉を耳にした。あなたは何のことだかわからない。お客様に聞くわけにもいかないので、その場はやり過ごすことにした。

あなたは、入社当時、研修を兼ねて1か月だけ経理部にいたことがある同僚に尋ねてみた。
「会計用語だと思うけど、『発生主義』って何のことかわかる?」

同僚は、「わからない」、「知らない」と言えない性格である。昔の記憶を呼び起こしながらも自信ありげにしゃべり始めた。

「『現金主義』とは反対の概念のことだったかな。現金が動いた時に会計入力をすることから『現金主義』と言って、まあ、一番わかりやすい会計処理の方法だよ。それで、『現金主義とは』……」

同僚は、延々と現金主義について語り始めた。
あなたは、「発生主義」が何かを知りたくて質問をしたが、そんなことはもう忘れているかのようである。

こんな人、いるわけがないとあなたは思っているかもしれない。ところが、本人は気付いていないのかもしれないが、実は驚くほどたくさん見受けられる。

今の例は極めて単純なケースだが、テレビのスポーツ選手へのインタビュー、国会での質疑など見ていると、質問に答えていないシーンに、本当にたくさん遭遇する。

勿論、答えたくない質問をはぐらかすために、わざと答えない人もいる。 しかし、聞かれたことに応えずに、違うことを言っていては、コミュニケーションは成立しない。
質問をした人はただイライラするだけである。
お互いに時間の無駄でもある。

質問者は、質問に答えてくれないことに非常に敏感である。オフィシャルな場面ではなかなか追加の質問もできない。質問者はストレスを貯めることになる。

もし、質問者が突っ込みを入れると、質問を受けた人は、しどろもどろになりながら、結局、回答できないことがはっきりしてしまう。 質問者は、答えられないことを見透かしている。質問とは違うことを話せば話すほど、質問者の心は呆れて離れていくだけである。

プロフェッショナルは、そのような振る舞いは決して行わない。プロフェッショナルは、質問に的確に答えるし、答えを持ち合わせていない場合には、無駄な時間を使うことなく、はっきりとその旨を伝えてしまう。それこそが、お互いのためである。

回答している本人は、上手く誤魔化せたとまでは思わなくとも、上手く切り抜けたぐらいには思っているかもしれない。しかし、そう思っているのは本人だけであって、周りはよくわかっている。しゃべればしゃべるほど、その人の評価は下がるだけである。
非常に残念なことだが。

4. クライアントの本当の要求を満たす

困っている人は、実は何に困っているかわかっていない。事実、困ってはいる。しかし、その根本原因が何であるかを明確に説明することができない。
だから、もし困っている人があなたに質問をしたとしても、その質問へのあなたの回答がその人の抱える問題を解決するわけではない。困っている人は、だいたい頓珍漢なことを尋ねるものである。

プロフェッショナルは、質問をする人が、必ずしも本当に自分が知りたいことを聞いているわけではないことを知っている。だから、受けた質問にすぐには答えない。むしろ逆に困っている人に質問をする。

勿論、回答がわからないためにその場を繋ぐためだけの空虚な質問ではなく、困っている人が本当に解決したいことが何であるかを探り当てるために行う質問である。

プロフェッショナルはどんどん会話を広げていく。 聞かれたことに応えることは、それほど難しいことではない。プロフェッショナルでなくてもできることである。しかし、質問者が満足しなければ聞かれたことを応えたとしても全く意味がない。

プロフェッショナルにとって、お客様が抱える問題を解決して初めて仕事をしたことになる。だから、聞かれたことに応えただけでは、仕事をしたとは言えない。

では、プロフェッショナルは何をするのだろう?

お客様は自分が何に困っているか把握できていない。そこで、プロフェッショナルは、お客様への質問を通して、お客様の頭の中を整理する手伝いをすることになる。 お客様は相当困っているから、支離滅裂なことも言い出すかもしれない。

だが、プロフェッショナルは、お客様が直面している事実は何か、お客様が抱く要望は何か、そして、その事実と要望との間にあるギャップは何か、こういったことをお客様自身に気付いてもらえるように話を進めていく。

プロフェッショナルは、お客様の質問に直接的には答えていない。しかし、お客様は自分が本当に解決したいことについて頭の中で整理することができた。それは、つまりお客様は満足したということである。

これこそが、正にプロフェッショナルの仕事である。

あなたは、お客様の質問に答えても、お客様は満足しないことを薄々気づいている。
質問には的確に答えているので、回答としては満点だ。しかし、それはプロフェッショナルがとる行動ではない。

ただ、質問に答えて責任を果たしたかのような気になっている偽物のプロフェッショナルに、あなたはならないで欲しい。

5. リスクアプローチの実践

「リスクアプローチ」という言葉をご存知だろうか? 語源はわからないが、会計監査の用語である。簡単に言えば、リスクが高いところに資源を集中して監査を行い、リスクの低いところにはそれなりの対応をすることを意味する。

売上を水増しして粉飾決算を行うリスクが高ければ、売上高の金額が適正であるかどうかについて徹底的に調べる。売上高について多くの時間を投入し、いろいろな監査手続を実施する。また、検証する取引の量も増やすことになる。

監査は、通常、試査と言ってサンプル検証にて行われる。すべての取引について証拠資料と突合するには、莫大な時間と手間、そしてコストがかかるので現実的ではない。だから、取引の一部を検証することで、全体の適正性を見極めるわけである。

一方、金額が小さい支払利息の金額について粉飾するリスクは低い。
粉飾しても大きな影響がないので、あまり時間をかけない。

これがリスクアプローチの基本的な考え方だが、何も会計監査に限ったことではない。私たちは無意識のうちに日常生活にこの考え方を取り入れている。

例えば、あなたには3人の友人がいる。Aさん、Bさんの情報は、いつも性格だが、Cさんの情報は、よく誤っている。だから、Aさん、Bさんから聞いたことは、他の人にもそのまま教えてあげるが、Cさんのことについては、本当かどうか自分で確かめるようにしている。
つまり、あなたは、Cさんの情報は誤っているリスクが高いとして、時間をかけ検証するが、Aさん、Bさんについては、検証の手間を省いている。

最近、駅のホームに柵を取り付けるケースが多くなった。人身事故があるとその対応がとられる。しかし、この柵は、すべての駅のホームに設置されているわけではない。実際に、事故があった駅や、事故が発生しそうな危ないと言われている駅に取り付けたものと推測する。

実際にリスクの識別が適切にできているかどうかは別として、これもリスクアプローチの実践である。 あまり事故が起こりそうもないたくさんの駅に柵を設置することは、費用に対して得られる効果が著しく低いので、現実的な対応とは言えない。

確かにもしかしたらそのような駅に柵を取り付けたことで事故に遭わずにすむ人もいるかもしれないが、一方でそのような人には目をつぶるということでもある。たくさんの事故を防ぐためには仕方ないということだろう。人道的にはこれでよいのかどうかは意見が分かれるところではある。

警察がネズミ取りを実施する。事故が起こりそうなところで取り締まりを行えば、事故抑止効果は大きいことだろう。ところが、事故が起こりそうもない広い見通しの良い一本道でスピード違反の取り締まりを行っていることがある。

この場合、スピードを出しそうな人が多い(違反者が多い)のでたくさんの人を検挙できるという点ではリスクアプローチになっているが、事故自体は起こりにくいと考えられるので、事故抑止効果という意味ではリスクアプローチになっていない。ちょっと目的を間違えているのではないかと思う時がある。

だいぶ、前置きが長くなったが、プロフェッショナルは、自分の仕事にリスクアプローチを適用している。重要なこと、ミスをすると大きな問題に繋がること、こういったことに力を入れている。あまり重要ではないこと、失敗しても大きな影響がないことにはあまり拘らない。

リスクアプローチでは、リスクの見極めが何よりも大切である。
そしてリスクは時間や場所などによって変化する。
今は重要ではなくても将来重要になることはたくさんある。
人生の時間は限られている。
あなたにできることも限られている。

6. クライアントファースト

スーパーの食料品売り場を歩いていると、店員がお客様の前を横切る。本来、店員がお客様に前を譲るべきである。店員は、店長に言われた仕事をこなすことに夢中で、お客様のことが見えていなかった。
これは、お客様より自分を優先したということである。 残念だが、このようなことは頻繁に目にする。

コンビニエンスストアで買い物をした。レジのアルバイトと思しき者が商品のバーコードを読み込む。
「680円になります!」
笑顔で言った。
あなたは、鞄から財布を取り出し、1,000円札で支払おうとする。ところが、お札を出しても、店員は受け取らない。レジの下からビニール袋を取り出し、黙々と商品を詰め始める。
お札を持って差し出したあなたの右手は、やり場に困っている。

店員が気が付いているかどうかはわからないが、とにかく商品を袋に詰めることに集中している。そして、持ち手のところをくるくると回して商品の入った袋をあなたの方に差し出す。

お札を持ったあなたの右手は、商品の詰め込まれた袋を受け取ることができない。仕方なく店員が袋から手を放すと、袋は商品の重さでへなへなと崩れていく。
そうして初めて店員は言う。

「お会計失礼します!」
それでも店員は笑顔を絶やさない。

お客様は、先に会計を済ませ、お釣りをもらい、財布にしまって、財布を鞄の中にいれたいと考えている。商品を渡されてから会計をすると、ずっとお札を持っていなければならない。それに、先に会計を済ませれば、店員が袋に詰めている間に、財布をしまうことができて効率的でもある。

店員は、先に品物を渡してから会計をするのが礼儀だと教わったのかもしれない。しかし、よく考えてみて欲しい。お客様が1,000円札を差し出しているにも関わらず、それを無視して袋詰めをする方がそれこそ礼儀をわきまえていない行為だ。

気の利いたお店は決してそんなことはしない。

「お先にお会計失礼いたします!」
そう言うと、店員は、袋に商品を詰め込む手を休めて、さっと1,000円札を受け取る。
店員にとってみれば、面倒くさいことだろう。途中で別の作業をすることになるので効率的ではない。
しかし、それこそがお客様の立場を考えたサービスである。店員はお客様の利便性のために一手間かけてくれた。

プロフェッショナルは、目的をはき違えてはならない。自分の都合を優先するのではなく、あくまでもクライアントファーストである。

7. まとめ

プロフェッショナルが必ず意識して実行しているエピソードを紹介した。

■最後の最後を大切にする
■いつも周りに神経を巡らせる
■聞かれたことに応える
■クライアントの本当の要求を満たす
■リスクアプローチの実践
■クライアントファースト

是非、あなたにも実践してもらいたい。

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